袋帯で竹の柄は多いですが、雪持ちの竹柄は珍しいです。
こんな帯です。
冬の寒さに耐えて、気高い様とその趣を変えないことから松竹梅で歳寒三友と称しました。
こちらの帯地は、松竹梅文様ですが竹がメインの構図です。そして面白いのが雪持ち、笹に雪が積もったデザインです。
南天文様などもそうですが、雪がなければ、お着物では通年の柄で使えるのです。ところが雪持ちにしたら季節がぐっと狭まります。ざっくり言うと冬。
で、商売的にはあまり作りたくない、、、「いつでも使えます」と言いたい。「あー、春には使えないのね」と言われたくない。
でも、個人的には大好き。着用の範囲が狭くなれば、その分、濃くなります。判る人には判る、密かな楽しみでございます。
竹の微風に揺れる様は、かそけき情感に満ち、また、烈風にあおられて弓形になってもびくともしない強靭さ。笹の擦れる音も良いものです。
古人は、風情があり柔軟ながら精神の気高さ清廉さを見出したようです。なんとなくその気持ち判ります。竹みたいな人に悪い人はいないだろう。
そしてこちらの雪持ちの竹柄。先の動的なイメージの竹とは対照的な、しんしんと雪が積もり、ぐっと耐え忍ぶ静的な様相。
しかしながら、今にも反発しそうな大きなエネルギーを湛えた、なんとも美しい自然の情景でございます。何やら人の人生と重なってまいります。真摯に事に向き合う様は心が動かされます。風になびく爽やか竹君も良いが、ぐっと踏ん張っている竹君も良いぞ。がんばれ竹!でございます。(雪文様は縁起の良い柄です、悪者ではありません)
やがで春が訪れ、すくっと真っすぐと立ち、「竹を割ったような」の言葉通りの清廉な様を見せることでしょう。
良かった竹!でございます。
色無地 みやこさかえ