生地の重さについて、よく聞かれます。
昭和の終わり位から、「重い生地は上等」、みたいな売り方が横行していたそうです。
高く売るためだったらしく、中には生地に樹脂みたいな加工をして重さを増量しているメーカーもあったそうです。
「重い生地は上等」という教義、少し考えてみて下さい。
お着物の生地の理想は、「天女の羽衣」。薄く透けてしまってはいけませんが、まとっているのが判らなくなるくらいの、着心地が良いと言う価値観もあるわけです。
目安としての目方は、3丈の表地なら、700g-800gの間で十分です。軽くてよいなら680gでも問題ないです。750gだと少し重い感じ、800g以上は、たぶん一日着ると疲れると思います。チェック項目としての重さはこれだけです。
確かに重く織ると、がっしりしっかりしますが、衣装として適切であるか、品質が高いかどうかは、また別の話で、好みの問題です。800g無いから安物という訳ではありません。
「重いほど良いものです」、という売り方は少しおかしいし、数十グラム増えた位で値段が跳ね上がるものおかしい。
質の高い素材を適切な量を用いることが大事で、量が増えたから、見違えるように品質が上がるわけではありません。
100g200円の肉は100gでも1Kgでも内容は同じ、1kgを超えると神戸牛になるとよいですが、なりません。
言葉や数字は、目安にしていただいて、実物を見て触ってみた時の自分の感覚を大事にして下さい。
色無地 みやこさかえ